「赤塚公園の植物に関する質問コーナー」質問と回答です♪

「赤塚公園秋の花と実りの写真展」[2021年9月23日(祝・木)~11月7日(日)]にはたくさんの方にご来場いただき、ありがとうございました! 期間中に開催した「赤塚公園の植物に関する質問コーナー」[11月3日(祝・水)]には28名もの方に質問をお寄せいただきました。その質問と回答をご紹介します。回答者は撮影者の「身近な自然の観察・記録活動」主宰 木村松夫氏です。

館内にも植物の写真付きで展示しております。ご来館の際はご覧ください。

Q1) ウバユリの花の香りは強いのでしょうか?

A1) 人間の嗅覚では、それほど香りが強いとは思えません。でも、鉄砲のように突き出した花の先端をのぞいてみると、小さな昆虫がたくさんいます。独特の香りを放っているのか、蜜が甘いのか、昆虫には好かれています。

Q2) エノコログサは食べられる(ラーメンで)って知ってますか?

A2) エノコログサはイネ科の植物です。イネ科といえば、東アジアの人々の主食であるお米はイネ科のイネ、西洋の人々の主食であるパンはイネ科のコムギそのものですから、イネ科の植物は食べられるものが多いといえます。よく野原でハトが地面をつついているのを見かけますが、それは地面に落ちているイヌムギやスズメノカタビラなどのイネ科の実を食べているのだと思います。でも、人間がイヌムギの実を採集して脱穀して、果肉だけにして、それをすりつぶして粉にしてパンをつくるとして、それにかけるエネルギーとイヌムギパンから得られるエネルギーを比較したら、労力の方が多くマイナスになってしまうでしょう。それでも、良かったら「食べられる」といっても良いでしょう。
ネットで調べると、実ったエノコログサの穂を焼いたり、ゆでたり、煎じてお茶にしたりして食している方もいらっしゃいました。エノコログサのラーメンは、エノコログサを脱穀して麺にしているとのことですが、大量のエノコログサの実が必要なはずで、まあ、「ご苦労様」としかいいようがありません。

Q3) ガガイモとキクイモは似ていますか?

A3) これまで私はまったく気にしていませんでしたが、良い質問ですね。両方とも「イモ」がついているのでお芋の仲間かと思ってきましたが、そもそも「~イモ」はひとつの種類ではないのですね。サツマイモはヒルガオ科サツマイモ属の植物、ジャガイモはナス科ナス属の多年草の植物です。つまり「イモ」というのは根が大きく太くなって、そこにでんぷん質などがたくさん溜まった「かたまり」状のものをいうのであって、植物の分類とは関係ないのですね。
ところで、両方とも「イモ」がついているガガイモとキクイモは、まったく違う種で似てもいません。キクイモはキク科ヒマワリ属の多年草で、花は菊の花に似ています。他方、ガガイモはキョウチクトウ科ガガイモ属のつる性多年草で、根っこではなくて実の種さやがお芋の形に似ているから「~イモ」という命名になったようです。

Q4) ガマズミとヒヨドリジョウゴの違いは?

A4) 両方とも赤くて丸くて小さいので、実だけを見るととても似ていますが、実際はまったく違います。ガマズミはレンプクソウ科ガマズミ属の木本(木)で、高さ2~3mになる落葉広葉樹。ヒヨドリジョウゴは、ナス科ナス属のつる性草本(草)。実物を見れば違いは一目瞭然なので、いつか観察会に参加なさいませんか?

Q5) ガマズミは食べられますか?

A5) 赤くて丸い実はいかにもおいしそうで、赤塚ではまず最初に野鳥が食べてしまいます。人間が食べても「おいしい」ということなので、観察活動中に「試食」しましたがすっぱいだけでした。その赤い色と酸味が漬物に使われたり、焼酎に漬けたり、ジャムにしたり、いろいろ用途はあるようです。でも、赤塚に生えているガマズミの本数は少ないので、みなさん、大事にしてください。

Q6) カントウヨメナはコスモス科では?

A6) コスモス科という独立した科はなくて、キク科の中のひとつの属です。同じキク科の仲間でもたくさんに枝別れしていて、コスモスはキク科コスモス属、カントウヨメナはキク科シオン属に分類されています。

Q7) クサギは、何がくさいのですか? 花? 実? みき? ねっこ?

A7) 花も葉も強い香りがします。でも、受け取り方によってはピーナッツバターのような香りです。「臭木(くさぎ)」と呼ぶのは、必ずしも嫌なにおいを発するということでもなく、手などについたら香りが消えないほど強い香りを発するという意味です。もっと小型の木で「小臭木(こくさぎ)」というのがありますが、それはミカン科に属する植物で柑橘系の決して嫌なにおいではありません。

Q8) タデってどういう意味?

A8) タデを漢字で書くと「蓼」と書き、「蓼」を辞書で引くと「植物。タデ科タデ属の一年草の総称」としか書いてありません。どういう意味?って、これじゃあ答えにならないですよね。万葉集では、この花のように「葉は細長く節にさや状の托葉があり、枝先に小花を密生した花穂をつける。花は単弁花で花弁はなく、萼(がく)が花弁状に発達している」植物を総称して「蓼」と呼んでいたようです、としかいいようがありません。「蓼食う虫も好き好き」ということわざがありますが、強い酸味があるので、こういうものを好む虫もいるのだなあという意味。ヤナギタデ(柳蓼)という種は鮎料理には欠かせない薬味として使われてきました。強い酸味に殺菌作用があるからといわれていますが、これでも「なぜ、タデっていうのか」は意味不明ですよね。

Q9) チカラシバとキンエノコロの違いはどこですか?

A9) キンエノコロは溜池公園の向かい側の「八丁目の林」のフェンス際の道端でよく見かけられます。一方、チカラシバは赤塚城跡のてっぺん(本丸跡)で「いたばし水と緑の会」が管理している「バッタ広場」の前に一面に咲き乱れます。いずれも9月ごろに花の盛りですから、実際に見比べてみるとよいでしょう。両方ともイネ科の植物ですが、キンエノコロはエノコログサ属、チカラシバはチカラシバ属で、「近くて遠い仲」ですね。だから穂の形も花の形も似てはいます。見かけはキンエノコロが普通のエノコログサの花穂と同じぐらいの大きさで、しかし穂先が黄色に赤みを帯びた「金色」なのに対して、チカラシバの花穂は巨大です。株全体も大型ですが、花穂は10~20㎝で、赤茶色をしています。写真で紹介すると、実際の大きさがわからないのですが、実物を見れば見間違いはないと思います。

Q10) ノササゲは食べられるのですか?

Q11) ノササゲはササゲと同じなのですか? 食べられるのですか?

A10-11) 植物の名前の頭に「野(の)」や「藪(やぶ)」がつくと、だいたい食べられません。食べられるササゲは穀物として品種改良されてきた「大角豆」ですが、古くから記録はあるので、このノササゲが発達してササゲになったとも考えられず、別の種だと思います。食べられるササゲとは違う野生のものですよという意味で「野」がつけられたものと思われます。野草でも毒のないものは、新芽ならばてんぷらやおひたしにして食べられるものが多いのですが、好んで食べるものでもありません。

Q12) ハエドクソウは毒はありますか?

Q13) ハエドクソウはハエの毒なんですか?

Q14) ハエドクソウの名前の由来は?

A12-14) ハエドクソウは蠅毒草と書きます。ハエにとっては毒という意味ですが、昔の人は、この草の根をすりつぶしたり煮詰めて「ハエ取り紙」を作ったということです。この紙に触れたハエは死んでしまうのですが、それはこの草が持っている毒性によるものです。その毒性は人間にも作用し、食べると吐き気をもよおすということです。

Q15) ヒヨドリジョウゴはサクランボみたいですが、食べられますか?

Q16) ヒヨドリジョウゴの実は食べられますか? 小鳥の食事のみでしょうか?

Q17) 鳥が好むといわれているヒヨドリジョウゴ。毒があっても鳥は食べても大丈夫?

A15-17) ヒヨドリジョウゴは全草にステロイド系アルカロイドのソラニンを含んでおり、誤食すると嘔吐や下痢、呼吸困難などの症状を引き起こし、大量に摂取した場合は昏睡状態におちいり、最悪の場合死に至ることもあるとされています。確かに「ジョウゴ」とは「上戸」のことで、大酒飲みの人を指したりして、よく飲みよく食べるという意味で、それが野鳥のヒヨドリがよく食べるので、この名がついたのでしょうが、実際にはそれほどでもないようです。でも、食べることは事実のようです。
毒性があって人間が食べたり触れたりすると害がある植物でも、その毒に接触しても感応しなかったり、毒を体内に取り込まない動物もいるようです。例えば、エゴノキは実の味がエグイのでエゴノキの名になり、実の皮をすりつぶして川面にまくと、魚がその毒性で麻痺を起こし浮いてくるので、漁に使ったといわれています。そんな毒性があるエゴノキの実でも、カラス、キジバト、ヒヨドリ、ヤマガラなどが食べるといわれています。おそらく、皮は消化しないで体外に排出されるのでしょう。このように、個々の植物とそれにかかわる動物によっていろいろあるようです。

Q18) ヒヨドリジョウゴはなんでサクランボみたいな形なんですか?

A18) 実は通常ひとつの花に1個ずつつくのですが、花が密集して咲く場合は実も密集するので、房状になります。実際にはサクランボよりもかなり小さいのですが、見かけは確かにサクランボのようですね。

Q19) マユミの実をどんな鳥が食べるのですか?

A19) 鳥に食べられたと思われる跡は見たことがあるのですが、実際に食べているところは見ていないので何ともいえませんが、小型の野鳥ではないかと思います。赤塚公園ではヒヨドリやムクドリ、メジロなどがよく見かけられます。

A20) ムラサキシキブの実はどれくらいの大きさですか?

Q20) 写真だと実際の大きさがわからないですね。ムラサキシキブの実は小さいです。1粒は直径3~4㎜ぐらいです。それが集合してかたまりになって、ひとつのかたまりが15~20㎜ぐらいかな。

A21) ムラサキシキブはブドウみたいですが、食べられますか?

Q21) 今回の写真展のご質問で「食べられるかどうか」の質問が多かったのには、感動しました。植物の観察・記録活動を続けている者は、その植物の繁殖状態とか開花・結実の時期などに注目しているのですが、よくよく考えると、人間は植物を食べて栄養をいただいて生きてきたため、「食べられるかどうか」ということは人間が植物に接するいちばん最初の関心事であるわけです。だから、「この実は食べられますか?」「毒ですか?」という質問は、いちばん人間らしい関心であるともいえるのであり、とても勉強になりました。
さて、ムラサキシキブの実ですが、確かに色も形もブドウに似ていますが、ブドウのようには大きくならず、果肉はブドウのようにフルーティではありません。植物図鑑では、実は観賞に良いとはされていても食べられるという記述は見つかりません。
そもそも、ムラサキシキブはシソ科、ブドウはブドウ科で、仲間ではありません。むしろ、ノブドウやツタ、ヤブガラシなどのつる植物がブドウの仲間で、実のつき方もブドウそっくり、ただ、うらなりで熟さない状態のように見えます。鳥は食べそうですが、人間である私はとても食べようとは思いません。

A22) ヤマホトトギス、ガガイモ、ミズタマソウは貴重な植物ですか?

Q22) 何をもって「貴重な植物」というか、その尺度によって見解は異なります。例えば、その種がレッドデータブックの「絶滅危惧種」に指定されているか否か、また、同じ「絶滅危惧種」でも地方によって異なり、赤塚公園の場合は東京都の絶滅危惧種の、さらにどのランクに指定されているかなど、細かい基準があります。ランクはさておき、「絶滅危惧種」に指定されている植物で都立赤塚公園で記録されているものに、アイアスカイノデ、ニリンソウ、ハグロソウ、ヤマジノホトトギス、キンラン、ギンラン、ヤナギイノコズチ、キツネノカミソリ、アマドコロ、ウマノスズクサ、ハンゲショウ、タウコギなどがありますが、確かにこれらの種がなくなってしまったら都内には存在しなくなってしまうかもしれないため、「希少」でしょう。そのほかに、ほかの場所ではほとんど見かけられない種、ご質問のヤマホトトギス、ミズタマソウは板橋区内では赤塚公園以外の特定の場所以外では観察したことがありません。ガガイモは赤塚公園近くの街路での観察報告のみです。このため「希少」な種だとはいえます。
ただそれらが「貴重」かどうかは価値判断に関わることのため、あちこちにたくさん生えていても「貴重な植物」といえるものもあります。私は道端の「雑草」といわれる植物も、全部「貴重」だと思っています。これらは環境省などの公的機関が指定したわけでもなく、高名な学者がそういっているというわけでもありませんが、わたしたちの暮らしとともに生きてきた植物は、区民にとってすべて「貴重」だという考え方も成り立ちうると思います。

Q23) ヤマホトトギスはランの仲間でしょうか?

Q24) ヤマホトトギスはなぜ不思議な形をしているんでしょう?

A23-24) ヤマホトトギスはユリ科です。ランの仲間ではありません。ランの仲間は葉が根元から直接伸びて、茎からは葉はつかないで、先端に花がつく花茎だけのものが多いようです。それに対してユリの仲間は、茎から葉も伸びてきますので、一見して違います。

Q25) ヤマホトトギスは毒はないんでしょうか?

A25) 確かに花だけ見ていると、紫色のぶつぶつがあり、形も異様で、けばけばしいイメージがあるので、毒がありそうな感じですが、参考書を見ても「毒性あり」とは書いてありません。その代わり「食べられる」ともなく、眺めているのが無難でしょう。

Q26) どうやって種が作られるの?

A26) 開いた花をよく観察すると、普通、花びら(花弁)の内側には雄しべと雌しべがついています。雄しべの先には花粉ができていて、それが雌しべにくっつき(受粉)、その花粉から花粉管が伸びて雌しべの根元にある胚珠にとどくと(受精)、胚珠が大きくなって種(種子)になります。動物でもオスの精子がメスの卵子と結びついて、子どもができるのと同じです。オスとメスがカップルにならなければ子どもができないというのが不思議ですが、違うもの同士が一緒になってできるものは、元の親とは違うものになるため、親とは微妙に異なった子どもができます。そのことによって、何かの原因で親が死んでしまっても、子孫は生き残れるという生き物が生き残るための工夫がここにあるのだと思います。もっとも植物の場合、ひとつの株の中に雄しべだけの花(雄花)と雌しべだけの花(雌花)が別々にあるもの、あるいは普通の動物と同じように、雄と雌が別々の個体である「雄株」「雌株」に分かれているものもたくさんあります。生き残るための知恵は植物にもあるのです。また同じ植物でも、シダ植物のように花粉の受粉によらないで、胞子をつくって子孫を残すものもあります。

Q27) どうしてひとつの花からたくさんの種ができるの?

A27) 生き物の中でも、ほ乳類のように高度に発達した動物(たとえば人間)は子どもを産んだらその子どもが独り立ちするまで、親は手取り足取り大事に子どもを育てます。このため子どもが1人(1匹)しか生まれなくても、親に守られて元気に大人に育つ確率が高くなります。しかし植物の場合、種(種子)は産み落とされた後、だれにも保護されずに自力で大きくなっていくほかありません。種子は落ちた場所で根を出し芽を伸ばしますが、最初だけ種子を包んでいる栄養分によって成長し、その後は自力で大きくなるしかありません。地面が乾燥していたり日が当たらないなど、環境が悪ければ生きていけないし、鳥や動物に食べられてしまうこともあるなど、さまざまな困難が待ち構えています。植物の種類によりますが、種子が大きく成長するのは何百個のうちのひとつというものすごく低い確率なのです。たくさんの種子を作れば生き残る数も多くなるため、植物はたくさんの種子を作るのです。

Q28) どうしてほとんどの花の種は守られているの?

A28) 例えばリンゴ。赤くて丸いリンゴの全体を種(種子)とはいいませんよね。リンゴの皮の下の食べられる部分は果皮(果肉)といって、もともとは種子を守るためにできた部分です。スーパーで売っているリンゴは人間が品種改良して、その果肉を発達させて一度にたくさんの果肉を食べられるように工夫して作ったものですが、そうでない植物でも果肉がたくさんさんあるものがあります。その果肉に守られて、中に種子がありますが、その種子も固い殻に包まれているのが普通です。殻の中には、種子が地面に落ちて根を出し芽を伸ばすまでの栄養を補給する成分が入っています。植物の種は、人間にしてみれば子どものようなもののため、大事に大切に育ってもらいたいと考えるのは植物も同じです。さらに、果肉が発達した果実は鳥や動物に食べられることが多いのですが、果実の中の種子は固い殻に包まれているため消化されません。種子は鳥や動物のふんとなって地面に落ち、その時は元の場所から遠くに運ばれているため、その植物が広い地域に広がって生きるのを手助けしています。